地域活動や事業活動でSDGsを活かすために最初にやることは関係者の話し合いです。話し合いの場では心から創り出したい未来イメージを関係者全員が共有することが大切なのですが、全員が本当に納得のいくまで共有を深められた体験は驚くほど少ないのではないでしょうか。
「テーマすり替わり」への対応方法
創り出したい未来のことより目の前の問題に注意が行ってしまい、未来創造のつもりが問題解決策にとって代わってしまうのが「テーマすり替わり」パターンです。これは参加者のプライオリティの捉え方の違いにより容易に起こってしまいがちです。先のことが分からない不確かな未来のことより、いまここにある目の前の問題解決の方が重要だという意識ですね。SDGsは未来がテーマですので、最初に現状のしがらみは一時棚上げして、創り出したい未来のことを話し合うのだということを、参加者にしっかり申し合わせることが大事です。
あなたが本当に創り出したい未来は
あなたが心から創り出したい未来はなにでしょうか?「世界平和」「貧困セロ」「すべての人に質の高い教育」など。すばらしい内容ですが、残念ながら概念的で抽象的すぎるので夢にすぎません。一方「特上寿司が食べたい」といった未来は、本能である食欲の衝動に突き動かされた、あまりにも小さく具体的すぎる欲望です。
ちょうど良い期間とサイズ
理想的なビジョンは、ちょうどよい期間とサイズ(役に立つ内容)になっています。そしてそのビジョンの延長線上に、上記の夢の実現がイメージできることも大切です。ビジョンの期間は、5年10年あるいは1年とか半年、来月とかでも良いのですが、期間に応じて大き過ぎず小さ過ぎず、役に立つサイズ(内容)に調整することが肝要です。
重要なのはテンションの共有
では最適な期間で役に立つサイズのビジョンを共有しただけで変化が起こるのか?その答えは否です。
変化を起こすにはもう一つ必要なことがあります。それは未来のビジョンから展望した現在の客観的なリアリティです。明確な「ビジョン」と「現在のリアリティ」が揃うと、そこに※緊張構造(テンション)が生まれます。どちらか一つだけではダメで、二つが揃って初めて、未来(変化)に向かうエネルギーが生まれます。規模の大小を問わず、個人のビジョンでも組織のビジョンでも同様に「未来(変化)を創り出す仕掛け」として機能するのです。
※緊張構造については、アメリカの作家、経営コンサルタント、作曲家、映画製作者であるロバート・フリッツが「学習する組織」(ピーター M センゲ (著))の中でも、最重要項目として提唱していますが、来月には緊張構造について詳細な解説と豊富な事例が書かれた「偉大な組織の最小抵抗経路~リーダーのための組織デザイン法則~」の日本語版が出版されます。未来を創り出すことに興味のある方は是非ご一読をおススメします。