構造コンサルティングで提供できる価値の5つ目は、「複雑な問題を整理し、シンプルにする」ことです。ではこの価値をもう少し詳しく解説していきましょう。
構造コンサルティングとは、社会や職場、集団の中で現れる行動やパターンを観察し、それらを生み出している根本的な仕組みや構造を明らかにしていく手法です。
さて、ここに会社でよくある具体的な話をしていきましょう。
■ 混乱した「新規事業」のお話
ある大きな会社が、「新しい事業を始めよう!」と意気込んでいました。けれど、いざ始めてみると、みんなが好き勝手にしゃべり出し、やりたいこともバラバラ。技術チームは「新しいモノをつくるのが大事」と言い、営業チームは「売れなきゃ意味がない」と主張し、マーケティングの人たちは「お客様の声が大切だ」と言う。
つまり――
みんな、自分のことだけを見て、全体が見えなくなっていたのです。
これでは、どこに向かって進めばいいのか、議論がかみ合わず誰にも打つ手がわかりません。
■ コンサルタントという“整理人”
そこに登場するのが、「構造コンサルタント」と呼ばれる人たちです。彼らの役目は、このごちゃごちゃを“構造的に”見直すことです。
まず聞くのは、「そもそも、何を実現したいのか?」という、いちばん根っこの問い。
そして、「今、何が起きているのか?」を客観的に地図のように整理します。
そのうえで、「どのつながりが悪くて、どこが曖昧で詰まっているのか?」を、はっきり見える形にしてくれるのです。
そうすると、
- 目的があいまい
- チーム同士がうまく連携できていない
- 判断するルールがない
といった「本当の問題」が、浮かび上がってきます。
■ 「シンプル」とは、“削る”ことではなく、“照らす”こと
ここで大事なのは、複雑な問題をシンプルにするということの意味です。
それは、何もかも捨てて単純にする、ということではありません。
そうではなく、本当に大事なことを、ちゃんと見えるようにすることなのです。
まるで、夜の森の中で、懐中電灯で照らすように――
「ここが道だ」「ここを進めばいいんだ」と、みんなが同じ場所を見て、前に進めるようにします。
■ 現場でどう使えるのか?
あなたのまわりでも、こういうことはありませんか?
- 先生によって言うことが違う
- グループで話し合っても、話がかみ合わない
- 目的がぼんやりしていて、何をすればいいか分からない
そんなときに、この「構造的に考える」方法はとても役に立ちます。
「まず、何を目指しているのか?我々は何を提供したいのか?」を考え、
「今、どんなことが起きていて(あるいは起きていなくて)、どこが問題なのか?」と今の現実を整理し、
「一番のポイントはどこか?」を見つける。
そうすると、成果と現状の間にテンションが生まれ、自然とやるべきことが見えてきて、みんなが動けるようになります。
構造コンサルティングは、世界や仕事、人間や集団の振る舞いに影響を与える「根底の構造」を探索・整理するプロセスを提供することで、表面的な課題の背後にある構造的な力学を明らかにし、それを関係者の足並みが揃う形へと再構築することで、持続的で本質的な変化を可能にしていきます。