SDGs導入チームの役割 その5(目標を繋げる)

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第4章 組織内各部署の目標を繋げる

木を見て森も見る仕組み(テレスコーピング)を導入する

前章では、SDGs導入のマスター緊張構造チャート作成で、主要な目標をつくりました。組織の主要目標は、組織全体に方向性を与えてくれます。同じ方向に全員がフォーカスするべき主要目標が全員にとって明確になったなら、次に必要なことは、組織の各部署が一つにまとまりながらSDGsに取り組み、新しいものを創り出し、成長し、志し、築き上げるための仕掛けづくりに取り組みます。

大きな主要目標を達成するには、その達成を支えるたくさんの小さな行動が必要ですよね。組織全体でSDGsの取組みを行う場合、部門を跨いだ、さまざまな活動が必要になります。そのような個々の活動を全て書き上げていくと、膨大なリストになり、どこから手を付ければいいのか、収拾がつかなくなり、頭の中が大混乱になってしまう恐れがあります。

このような大混乱を避け、効果的にSDGsの取組み目標を組織に浸透・定着させるための画期的な方法について、解説していきたいと思います。

 

「目標」は組織を束ねます。

組織の土台であり、組織を束ねるおおもとは「目標」です。気合でも情熱でも人格でもありません。それらは組織をよりよく機能させる二次的なものです。ですので、主要目標の設定と同時に、主要目標の達成を支える、現場の行動目標の設定は、いい組織づくりのためには最も大事なことだと言えます。

膨大な数の組織の各部署の小さな行動が、主要目標を支えるようにする手法として、ロバート・フリッツは「偉大な組織の最小抵抗経路」の中で、「テレスコーピング」を提唱しています。

「テレスコーピング」とは、望遠鏡(telescope)のように、大きな筒の中に小さな筒があり、それを引き出したり、しまいこんだりできることを表しています。一番大きな筒であるマスターチャート上の各行動ステップを引き出して、小さな筒に当たる新しい緊張構造チャートに展開していくことで、組織内の各部署のさまざまな行動を繋げていき、組織全員の一体感を高めていくことができます。



◎テレスコーピングの効果


・組織がバラバラになる代わりに、見事にまとまる。

 テレスコーピングを行うことで、全員に全体像が共有され、詳細に埋没する人がいなくなります。森で道に迷ってしまい、ひとりは東に行きたい、もうひとりは西に行きたいと、ひとりひとりが自分の価値観だけで行動し混乱が深まることなく、自分たちの状況を緊張構造チャートで俯瞰することで、どう協力し何を解決すれば効果的にこの森から抜け出しゴールに到達できるのか、道を見出すことができるようになります。木をみたら森が見えて、自分が全体の一部だと分かるようになります。


・チームが賢くなる。

そうなると、チームは賢くなり、生産的になります。状況に反応する代わりに、緊張構造チャートの今のリアリティである状況を利用できるようになっていきます。


・過剰な干渉が必要なくなり、メンバーの高度な自立が実現する。

組織の価値と方針に合致している限り、それぞれのメンバーは自由に仕事ができ、それぞれの創意工夫で成果を上げることができます。各マネージャーは自分の才能と裁量で、采配を振るうことができる環境が実現します。


組織では、各部署に様々な目標がすでに設定されています。あなたの組織の大きな目標は何でしょうか?また大きな目標同士、整合しており、一貫したものになっているでしょうか?対立したり矛盾したりしていないでしょうか?良く考え抜かれているでしょうか?

新たに加わるSDGsの取組み目標の導入は、既存目標を再点検するいい機会です。既存の目標の整合性も確認しながら、「テレスコーピング」に取り組んで、理想的な組織づくりにチャレンジしてください。

  • 2020 10.29
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