MMOTはなぜ「ほんまもんの部下育成法」なのか?

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「MMOTはほんまもんの部下育成法」の“ほんまもん”ということについてお話したいと思います。
「ほんまもん」とは、時代を重ねてもその価値が一流であり、人の心に触れて感動やひらめきを与え、揺るぎない信頼をもたらすものと言うことです。

■「Aさん、ちょっといいですか?」をめぐる考察
部下のAさんが、マネージャーのあなたから「Aさん、ちょっといいですか?」と言われたとします。言われた瞬間に、Aさんは本能的に説教されるのではと身構えますよね。(笑)

従来型のマネジメントは、指導と言う言葉が誤解されています。本来指導は、相手をある目的や方向へ導くことにもかかわらず、指導=説教・叱責 になっています。

このことは私にも思い当たる節が多々あります(笑)

Aさんの上司の私の動機は「部下をどうにかしたい」になってしまっています。そうすると打ち合わせの最初はそうではないのに、最終的にどうしても「部下をどうにかしたい」になってしまいます。(笑)
従来の部下育成法の場合、上司がフォーカスしているのは、もちろん部下のことです。それも部下の厄介な点、問題と思われる点について、つまり「触れられなくない点にフォーカス」しています。
これに対しMMOTの目的は、問題解決ではなく4つのステップを踏みつつ部下から最高の力を引き出すことです。つまり問題ではなく目標とする成果に関心が移り、上司も部下もフォーカスする視点が自然と変わってきます。

どういう風に変わるかと言うと、部下を「やっかいな問題を生み出すやから」から「成長の可能性を内在した可能性を秘めた人」として見るようになって、事実を部下と一緒に客観的に見てそこから学び、部下を手助けするやり方を一緒に探求するモードへと変わります。

そうすると上司の部下を見る目が変わってきて、部下も「受け身の感情的な反応」から脱して「前向きに学んで成長する」気持ちに変わります

確かに、「Aさん、ちょっといいですか?」と呼ばれたときには、何かやらかしたかなとネガティブに思いますよね。日本の典型的な企業組織では、どうしても身構えてしまいます。最終的に「だから、お前はダメなんだ」になってしまいます。これでは生産的ではない空しい時間の消費の場です。

 

■「だからお前はダメなんだ」は打ち手を持たないマネージャーの嘆き節
「だからお前はダメなんだ」は、マネージャーとして真実に向き合ってないのです。

例えばあるレポートを仕上げることを命じられて、締め切りに間に合わなかったとします。そのときに、部下も上司も真実に向き合うことをしないということです。マネージャーは、部下の人格と、レポートが間に合わなかったことを、ごっちゃにしてしまいます。そこを切り離せば、誰も傷つくことはないということで、仕事の成果に集中することになります。

そのことを上司も部下も事前に分かっていれば、部下と上司で、事実をありのままに報告し合う場になります。お互いに、事実を確認・探求することになるので、お互いが不幸になりにくくなります。レポートが締め切りに間に合わなかった現実について、どうして間に合わなかったのかという現実について話し合う場になるということです。

「Aさん、ちょっといいですか?」と言われたときに、仕事について集中するのだな。Aさんの人格ではなく、仕事について言われるのだなと認識されるのです。
MMOTでは部下との打ち合わせが、部下を説得・操作して問題解決するという時間の消費の場ではなく、部下の成長を助ける時間の投資の場に変わります。


そうすると従来の「叱責と問題解決の場」が、「一緒に学習するチャンスの場」に変わります。これはとても大きい変化です。

■変化が長続きしない従来のマネジメント
従来の問題解決のマネジメントでは、揺り戻し構造の中で行動しているのです。「これをやらないとひどいことになる」「これをやらないとマネージャーとして自分の立場がなくなる」といった葛藤を抱えて行動すると、問題が解決に向かえば動機も弱くなりますよね。そうすると問題解決する力が弱まり、気がついたらまた問題が発生していることになります。
これはダイエットでも同じことが言えます。ダイエットで食事制限に成功して体重が減ると、ほっとして前以上に食べてしまいリバウンドしてしまうケースです。

つまり「葛藤が動機」ならば、部下・上司とも変化が長く続かないのです。

僕が会社員時代に主任だったころ、部下の一人に遅刻の常習犯がいました、遅刻するたびに、注意しなくちゃと気にして、まあ本人も反省して次からは遅刻しないだろうと思っていました、ある時また遅刻したので、さすがにこれは見過ごせない、主任として怒ってしかるべきだという動機で、きつく叱責してしまいました。叱責したらそれで主任の役目は終わったと主任としての葛藤が解消されたのですが、2~3日たつと元通りになってしまった苦い経験があります。これは完全に葛藤を動機としていて、今となっては大いに反省ものの苦いエピソードです。

従来のマネジメント:遅刻は問題→問題解消→叱責で遅刻をやめさせる
一方MMOTだと、部下本人はどうありたいのか(定時に出勤したい)にフォーカス。でも現実は遅刻の常習犯。どうして遅刻するのか、その原因を一緒に究明? 遅刻をせずに会社に来るためにはどうするか対策を立てる。対策がうまくいくかフィードバックをもらう。ということが出来ていたかもしれません。

MMOTに取組むとき、上司が葛藤を引き起こす問題解決モードではなく、現状に焦点を当てつつも同時に目指している将来のビジョンを持って仕事に取り組んでいます。このことを専門用語で「緊張構造」と呼んでいます。緊張構造は、成功している組織におけるマネジメントやプランニングの道具として幅広く活用されています。
目指している将来のビジョンには、学習スキルの習得や、マネージャーとしての成長も含まれています。

つまりMMOTは将来のビジョンが実現し変化が定着するまで機能し続けるのです。

 

■長続きする本物(ほんまもん)の変化をもたらすMMOT
MMOTをひと言でいうと、人が学び、向上し、プロとして成長し、能力を開発し、組織に貢献し、キャリアを構築する最高のチャンスであって、部下だけではなくマネージャーにも「長続きする本物(ほんまもん)の変化」をもたらす社員教育のツールともいえるのではないでしょうか。

  • 2024 10.10
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