しばらく、経営者やリーダーのためにロバート・フリッツが書いた、名著「偉大な組織の最小抵抗経路」リーダーのための組織デザイン原則の紹介をしていきたいと思います。
ロバートは、様々な書籍、ワークショップで緊張構造の法則を教えています。これは創造する際の核心になる教えなので、最初に説明したいと思います。
「緊張構造」とは、創り出したい成果と、それに対応するいまの現実の間に生じる物理的な緊張のことで、何かを創り出すときのエネルギー源となります。弓矢で的を狙うとき、弓を引き絞ると物理的な緊張が生じ、矢を的に飛ばす力となります。緊張構造は物理的な力であり、心理的な緊張や肉体的な緊張とは別のものです。
下の写真のように、ロバートはよくゴムバンドを使って緊張構造の解説をします。
そしてこれを表したのを「緊張構造チャート」と呼びます。チャートの上の箱には、創り出したい成果・目標、下の箱にはそれに対応するいまの現実、その二つの箱の間には、今の現実を目標と同じ状態にするための行動をリストアップします。
「偉大な組織の最小抵抗経路」の活用目的を緊張構造チャートで表すとこうなります。
上の箱には、創り出したい組織の目標を、下の箱には目標から見た今の現実を書いています。そして2つの箱の間には目標実現のためのアクションステップが表されています。このチャートが表す通り、この本一冊だけで実現できてしまいます。
紹介する「偉大な組織の最小抵抗経路」の凄いところは、全組織のトップマネジメントからミドルマネジメント、そして現場の仕事に至るまで、この本の原則に従って運営できることです。原則に従えば、ビジネスの成功だけでなく、組織としても成功することが可能になります。つまり、効率的・生産的になるだけでなく、働く人が誇りを持ってプロフェッショナルとして自発的に協働する一体感のある組織になるということです。
私もこの本の原則を忠実に実践することで、組織が変わる幸せな瞬間に出会ってきました。この方法は、極めてシンプルですがパワフルで、いままで試してきた流行りのビジネス手法やマネジメント手法とは全く次元の異なるものです。
この教えが英文書籍として出版されたのが1990年代。アメリカをはじめ全世界の多くの企業、学校、病院などの非営利団体をはじめ、環境問題や、開発途上国の課題解決のために、読まれ実践されてきました。数十年の間にグローバル化の加速、インターネットの普及などで世の中の状況や価値観も大きく変わってきましたが、この本で書かれた基本原理は不変で、時の試練に耐え、むしろ以前よも自明になってきています。
一方日本で邦訳書籍が出版されたのが2019年。この原則を日本国内に普及する余地はまだまだ広大です。ですのでこの書籍に書かれている原理原則を、国内の志ある経営者やリーダーに事あるごとに積極的に紹介していきたいと思っています。日本の経営者やリーダーが「偉大な組織の最小抵抗経路」読み学び応用し、組織を前進する構造に変え、組織の目的に誇りを持って生き生きと働く社員が増える、そんなきっかけになれ、これほど嬉しいことはありません。
もし内容にご興味がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。