SDGs導入チームの役割 その3(緊張構造を形成する)

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③緊張構造を形成する

「主要目標」と、目標から展望した「今のリアリティ」が正確に定義できると、その間に緊張構造が生じます。

ここでいう緊張とは、情緒的ストレスや不安やプレッシャーのことではなく、痛みや苦しみのことでもありません。緊張とは、私たちの望むものと、今持っているものとの差のことです。創り出したい状態と実際の状態の差から生じるテンションが緊張です。そして緊張があれば、かならず解消したがるというのがポイントになります。
この動的なダイナミズムの原理を活用することで、イノベーションを成功に導くのです。

簡単な例で説明しましょう
あなたが旅をする場合を考えてみてください。気ままな旅以外、まずは行き先候補を決めるはずです。この行き先が目標(ゴール)です。そこにたどり着くためには、どうやって移動するのか行程と移動手段を決めます。当たり前のプロセスですが、このプロセスを成立させるには、実はもう一つポイントがあります。そのポイントは今いる出発点(スタート地点)が分かっていないと、決めることができませんね。ゴールを決めただけでは、ゴールにたどり着けないのです。スタート地点を定めないと、行程や移動手段を決めることは不可能です。

組織の変革プロセスも同様です。
(手順1)手に入れたい目標(ゴール)を決める。
         ↓
(手順2)目標から展望した今のリアリティ(スタート地点)を定義する。
         ↓
(手順3)行動計画を策定する。


ポイント:ゴール設定後、スタート地点を定めなければ、行動計画は立てられない。

(ゴールを設定して、いきなり行動計画はNG)

 

緊張構造」は、創造的な成果を生み出すために使える強力な道具です。創り出したい成果をはっきりさせ、それに対する現在のリアリティを定義することによって緊張構造(テンション=動的で創造的なエネルギー)が形成され、それは具体的な行動計画によって解消されます。この緊張構造(動的で創造的なエネルギー)をつくり出し、達成まで保つことが、SDGsによる変革の成功の要となります。


最後に有名なエピソードを紹介します。

「私には夢がある」と演説したマーチン・ルーサー・キング牧師は、人種差別のない世の中のビジョンを描きながら、同時にビジョンとは程遠い現実を語り、大きな社会変革のエネルギーを生み出しました。仮にキング牧師が、演説の場でビジョンだけを語ったとしたら、行動を起こそうとする大きな変革のエネルギーを生み出せたでしょうか、演説会場の聴衆になったつもりで考えてみてください。ビジョンと同時に、ビジョンとかけ離れた今の厳しい現実を語ることで、その場に行動につながる緊張構造が生まれ、大きな変革を成し遂げることができたのではないでしょうか?


ポイント:目標と現状の差がパワフルな緊張を形成し、組織の中で緊張構造が確立されると、皆が力を合わせてそれを解消することができる。解消することで組織は前進していく。

  • 2020 10.22
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