〇SDGs抗体検査
ここで質問です。
「あなたの組織の過去と現在を観察して、過去どんな葛藤構造があったでしょうか?また現在あるでしょうか?」
今までの葛藤事例を参考に考えてみてください。(前の投稿「2種類の変革」参照)
SDGs抗体検査は、あなたの組織の葛藤構造を発見するための大切な検査です。私の過去の支援を振り返ると、組織の葛藤構造を把握せずに取り組んだプロジェクトは、いかにいい取り組みであっても、いかに有能な素晴らしいメンバーであっても長くは続きませんでした。その原因は葛藤構造にあったのです。活動内容や人のせいではなく、変革の成否を握っているのは組織の構造なのです。
自分たちの組織で揺り戻しを起こしている葛藤構造を発見し理解することが、SDGs導入を成功させるための、重要なプロセスになります。葛藤構造を見つけられるようになるためには、組織を構造的な視点から探求し、分析する必要があります。
抗体検査でやることは、組織の揺り戻しのパターンを見つけることです。
“まず対策Aをやった → 次に対策Bに流れて → またもや対策Aにもどった” というような状況がなかったか探してみてください。揺り戻しの多くは、数カ月や数年にわたって起こるので、長期的な視点で見つけてください。ヘリコプターに乗って、上空から組織の活動履歴を眺めるような感じです。見つかったら次の問いで確認してください。
確認の問い
➀揺り戻しパターンで最初の揺れはなにか?
②組織がその方向に振れたとき、それは何から離れていく方向だったか?
③皆が最初に話していたことは何か。そしてその次に話していたことは何か。社内で会話のトピックが変わっていったか。
確認の問い例(SDGs導入の場合)
➀持続可能な成長を目指し、新たな成長と社会貢献実現のためにSDGsに連動する目標を経営に導入します。そのためには、いままでのやり方を見直し、体制を刷新していきましょう!(最初の揺れ)
②既存の体制、既存のコミュニケーションラインや評価制度から離れていった。(なにから離れていったか)
③最初に話していたのは「経営陣は本気らしい、しばらく様子をうかがうとするか」
次に話していたことは「会社が言っていることと、実際の現場の状況はまったく違うし・・・このままの状態がいつまで続くのだろう?」「前のやり方の方が、慣れていたしやりやすかった。かえって効率が落ちたな。現場をもっと考慮してほしいよ」(話していたこと)
〇本物の対話を始めるために
葛藤構造は組織に蔓延していますが、不治の病ではありません。
SDGs抗体検査実施は、うわべではない本物の会話をメンバーで始めるきっかけとなります。
組織の葛藤構造を理解してしまえば、仲間たちと本物の対話を始めることが出来るようになります。うわべの症状ではなく、根底の構造について語ることができます。それによって建設的な対話が生まれ、自部門の利益を守らなければと警戒することも減ってきます、全員が客観的になるので、このプロセスは驚くほど役にたちます、
心から実現したいあなたの組織のSDGsビジョン達成のためには、“本物の対話”ができる組織である必要があります。本物の対話のきっかけとして、自分の組織の葛藤構造を探求し、メンバーで共有してください。
葛藤構造が分かれば、それを解消する対策を打ちたくなるでしょうが、この時点では認識を共有するだけで十分です。そこでとどめておいてください。後の章で、その理由と葛藤構造を無力化する方法をお伝えします。