はたらくことは、生きること
今回カードゲームを開催した「ぷろぼの」は、障がい者の就労に向けた総合的支援を奈良県で展開している社会福祉法人です。
「ぷろぼの」では、誰もが、ここにいても安心できるという場所を得て、何かに貢献できたと感じるとき、生まれてくる生きる力のことを「はたらく」と呼んでいます。
つねにオープンであること(こころのバリアフリー)
施設による福祉が推進されていく一方で、まちで交流するのは健常者ばかりで、障がい者や貧困者といった人たちはどんどん見かけなくなっていく。多様な人々ではなく均質な人ばかりが暮らすコミュニティは、本当に豊かで幸せなのでしょうか?政府は「こころのバリアフリー宣言」を謳っています。こころのバリアフリー宣言の8つの指針(特に肯定/受容/出会い/参画を説いた第5~第8)は自分ごととしてとらえられる素晴らしい内容ですが、地域への浸透度合いはまだまだですよね。ぷろぼのでは既存の福祉制度の枠を超えて地域の方と繋がるオープンな対応をこころがけており、今回の会場の一階には「ぷろぼの食堂」が一般に開放されています。奈良県のすぎ材をふんだんに使った内装はとても居心地がよく、ごはんとお味噌汁にこだわった定食や奈良の地酒が味わえる素敵な共有空間になっています。
理想的な木造交流スペース ぷろぼのFellow Ship Center
地域の方との交流の場を目的に建てられたビルは、なんと日本初の木造5階建。2~5階は県産材である吉野スギに包まれた空間で、県産材の活用は林業が盛んで製材業が整っている奈良の地の地域産業の活性化にも貢献しています。このことは後から知ったことなのですが、実際会場に入ると、身体全体の細胞が癒され自由になる不思議な感覚を覚えました。これはまさに自然の木のパワー。そして今回は、このやさしい思いのこもった理想的な会場でカードゲームを開催しました。
目的は”福祉”と”世間(健常者)”の壁をなくすこと
今回のカードゲーム依頼者は、以前カードゲームに参加された、ぷろぼのスタッフの藤田敦子さん。開催の目的は?と伺うと、ゲームを通して地域の方にぷろぼののことを知ってもらい、福祉と世間(健常者)との壁をなくすきっかけになればとのこと。このカードゲームの特性上、会場が一体感で熱を帯び、学びや気づきの共有の場が生まれやすくなるので、「それではチャレンジしてみましょう!」ということになりました。
ゲームの状況
スタート時点は、写真のとおり市民プレーヤーはロの字に座ってもらい、その後ろに行政プレーヤーの机をレイアウトしました。
ゲーム開始からしばらくすると、市民プレーヤーの一人が「持っているプロジェクトと資源ガード情報を共有しませんか?」と提案があり、それを受けてさっそく机を合体!情報の共有の重要性に気づくとは、さすがぷろぼのスタッフですね。
ゲーム終盤には事務局に長蛇の列ができ、まちの状況メーターはすべて目標をクリアすることができました。
今回は一人の声掛けと、その声を聴き入れ実行に移したことで、流れが大きく変わったことが印象に残りました。現実の世界でもステークホルダー間での情報の共有がもっとスムーズになると、長期的に成果が大きく変わってきます。そのためには日頃からコミュニケーションをとれる素地づくりが大事であることを気づかされたゲーム内容でした。
ゲーム終了後は、1階のぷろぼの食堂に移動し乾杯!参加された皆様お疲れさまでした!