問題から始めない。創りたいものから始める。 

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仕事をしていると、私たちはごく自然にこう問い始めます。

「何が問題なのか」
売上が伸びない。人が育たない。会議が機能しない。地域から若者が出ていく。夫婦の会話が減った。これからの人生に手応えがない。

問題を見つけ、原因を探し、解決策を考える。これは、とても合理的な方法です。
実際、多くの組織も、行政も、コンサルティングも、この発想で動いています。

けれど、ここには一つ、見落としやすいことがあります。
問題をなくすことと、望む未来を創ることは、同じではない。
この違いは、思っている以上に大きいのです。

問題がなくなったら、そこに何があるのか

たとえば、会社の中で社員同士の関係が悪いとします。問題解決の発想では、「なぜ関係が悪くなったのか」を考えます。

コミュニケーション不足なのか。役割分担が曖昧なのか。上司のマネジメントに問題があるのか。そして、原因らしきものが見つかれば、それを取り除こうとする。
もちろん、必要なことです。
しかし仮に、問題がすべて解消したとして、その会社は、どんな会社になっているのでしょう。「関係が悪くない会社」でしょうか。

けれど、
「関係が悪くない会社」と、「互いの力を活かしながら、良い仕事を創り続ける会社」は、まったく違います。
前者は、問題が減った状態です。
後者は、新しい何かが存在している状態です。

この違いが、私たちが大切にしている出発点です。

問題は、未来を教えてくれない

困っていること。足りないもの。うまくいっていないこと。これらは、もちろん大切な現実です。無視してはいけません。
けれど、問題には一つ特徴があります。問題そのものは、「何を創ればよいか」を教えてくれない。

赤字だからといって、どんな会社を創りたいのかは分からない。
人口が減っているからといって、どんな地域を創りたいのかは分からない。
孤独だからといって、どんな人間関係を創りたいのかは分からない。

だから、「何が悪いのか」だけを見続けても、未来の輪郭は現れません。
むしろ、問題を減らすことだけに意識を向けると、人生も、組織も、地域も、「悪いものを少しずつ減らしていく営み」になってしまいます。

けれど、私たちは、本当にそれだけのために生きているのでしょうか。

最初の問いを変える

Future Creation Lab.オブリガードでは、最初の問いを変えます。
「何が問題ですか」ではなく、「何を創りたいのですか」と問います。

どんな会社にしたいのか。
どんな地域にしたいのか。
どんな関係をつくりたいのか。
そして、どんな人生を生きたいのか。

これは、夢を語りましょう、という話ではありません。むしろ逆です。
創りたいものを明確にすることで、初めて現実を正確に見ることができる。

ここが重要です。

創りたいものが決まると、同じ現実が違って見える

たとえば、ある会社で、「仕事が多すぎて現場が疲れている」という問題があったとします。

問題から始めれば、「どうすれば仕事量を減らせるか」を考えるでしょう。

しかし、「良い仕事を、無理なく続けられる会社を創りたい」と定めたら、現実の見え方は変わります。

単に仕事量を見るだけではなく、どんな仕事を受けているのか。誰が判断しているのか。何を基準に「受ける」「受けない」を決めているのか。現場には、どんな無理が生じているのか。ということが見えてきます。

つまり、未来が決まることで、現在の意味が変わる。これが、構造的に考えるということです。

現在は、未来との関係の中で意味を持つ

少し抽象的に聞こえるかもしれません。けれど、これは日常でも同じです。
たとえば、駅に立っているとします。現在地だけを見れば、「私は今、梅田駅にいる」という事実しかありません。

けれど、「京都へ行きたい」と決めた瞬間、梅田という現在地に意味が生まれます。

どの電車に乗るのか。どちらのホームへ行くのか。何時に着きたいのか。すべてが変わります。

つまり、現在地は、目的地との関係によって意味を持つ。

人生や組織も同じです。何を創りたいのかが分からなければ、現在の問題は、ただの問題です。
けれど、創りたいものが明確になれば、現在は、「そこから始める場所」になります。

「なぜできないか」より、「何がまだないか」

問題解決では、よくこう問います。「なぜ、できないのでしょう」
もちろん必要な場合もあります。

しかし、この問いには、過去へ向かいやすい性質があります。誰のせいなのか。何が原因なのか。何が不足しているのか。
そこで私たちは、ときどき問いを変えます。「創りたい未来にあって、今はまだ存在していないものは何ですか」

例えば、「幹部全員が同じ方向を向いている会社」を創りたい。でも現在は、重要な判断基準が人によって違う。
ならば、「問題は意識が低いことだ」と解釈する必要はありません。

ただ、共通の判断基準が、まだ存在していない。そう見る。

すると次の行動も変わります。人を叱るのではなく、一つの案件で、共通の判断基準を試してみる。それだけでいいかもしれない。問題を無視するのではない ここは誤解されたくないところです。

「問題から始めない」というのは、問題を見ない、という意味ではありません。むしろ、現実は徹底して見ます。困っていることも見る。数字も見る。人間関係も見る。失敗も見る。

けれど、現実を「直すべきもの」としてだけ見ない。
創りたい未来に対して、「いま、ここに何があるのか」として見る。

すると、現実は敵ではなくなります。
現実は、未来を創るための材料になります。

未来があるから、現実をまっすぐ見られる
私は、ここが大切だと思っています。
人は、ときどき現実を見ることを怖がります。
売上が足りない。能力が足りない。関係がうまくいっていない。自分の人生が、思っていたものとは違う。

けれど、創りたいものが明確になっていれば、現実を見ることは、自分を責めることではなくなります。
「ここから創ればいい」と思える。

創りたい未来と現在の現実。その間には、当然、距離があります。その距離こそが、私たちを前へ進ませる緊張になります。

人生も同じだと思う

この考え方は、会社や地域だけのものではありません。むしろ、人生にこそ当てはまります。
「何が問題なのか」から人生を考え始めると、健康の不安。老後の不安。仕事の不安。家族の不安。足りないものが、いくらでも見つかります。

そして人生は、不安を一つずつ減らしていく仕事になってしまう。でも、最初にこう問ったらどうでしょう。

「私は、これからどんな人生を創りたいのか」

どんな朝を迎えたいのか。誰と時間を過ごしたいのか。どんな仕事を残したいのか。何を学びたいのか。どんな音楽を奏でたいのか。どんな場所へ旅したいのか。そして、どんな人として生き終えたいのか。

そう考えた瞬間、今日という一日の意味も、少し変わります。

創造は、「欲しいもの」を決めるところから始まる

問題は、なくしていくものです。けれど、未来は、創るものです。
そして創造は、「何が嫌なのか」ではなく、「何が欲しいのか」を決めるところから始まります。

だから私たちは、問題を見る前に、一度、未来を見る。現実から逃げるためではありません。
むしろ、現実を正しく見るために。何を創りたいのか。いま、どうなっているのか。その二つを同時に見る。

そして、今日できる一つを選ぶ。その積み重ねの中で、まだ存在していなかったものが、少しずつ現実になっていきます。

Future Creation Lab.オブリガードが大切にしたいのは、そんな創造のプロセスです。

問題から始めない。創りたいものから始める。

それは、会社にも、地域にも、そして人生にも使える、

とてもシンプルで、とても根本的な出発点だと思っています。

Future Creation Lab.オブリガード
まだ存在していないものを思い描き、それを、現実の中に創り出すために。

  • 2026 10.02
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