提供する価値その2:現在の現実を正直に評価すること

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価値2:現在の現実を正直に評価すること(正直に現実を見つめることの大切さ)

現実を正しく評価することは、一見容易に思えますが、実際には極めて難しい作業です。人は本能的に、自分にとって心地よいものに目を向け、不都合な事実から目を逸らしがちです。特に、人生や仕事において大きな決断を迫られる場面では、つい楽観的な解釈をしたり、希望的観測に逃げたりするものです。しかし、現実を直視しなければ、真の解決策にたどり着くことはできません。

福田恆存は「人間はしばしば、見たいものしか見ず、聞きたいことしか聞かない」と述べました。これは、自己の都合に合わせた解釈が、いかに人間の判断を歪めるかを示唆しています。本当の意味での知性とは、都合の良し悪しを問わず、冷静かつ厳密に現実を捉える力のことです。自己欺瞞を避け、事実に基づいた考察を行うことこそが、未来を切り開く唯一の道なのです。

構造アプローチにおいては、この現実直視の姿勢が何より重要です。構造コンサルタントは企業や組織の仕組みを分析し、最適な体制を築く専門家ですが、その根幹にあるのは、客観的な視点で現状を正しく把握することです。もし、現状の欠点を見ないふりをして、表面的な問題解決に終始してしまえば、根本的な改善にはつながりません。

たとえば、ある企業が業績不振に陥ったとします。その原因が経済環境の変化や競争の激化だけではなく、組織内部の問題――非効率な業務フロー、意思決定の遅さ、リーダーシップの欠如――にある場合、それを無視したまま単なるコスト削減策を打ち出しても効果は限定的です。むしろ、冷静な分析に基づき、組織のどこに本質的な課題があるのかを見極め、構造改革を進めることが求められます。

これは、個人の生き方にも通じる話です。たとえば、将来の目標を立てる際に、自分の現在地を誤って認識していれば、適切な道筋を描くことはできません。仮に「自分は十分な実力がある」と思い込んで努力を怠れば、いずれ競争に敗れます。逆に「自分には才能がない」と悲観しすぎて諦めれば、挑戦する機会そのものを失ってしまいます。「ほしい成果を手に入れるのに、今の自分には才能がない」と分かれば、才能を伸ばす計画を立て一つ一つ実践努力する選択を取ることで、違う未来を自ら創り出すことができます。だからこそ、現実を真正面から見つめ、できることとできないことを冷静に把握し、それを前提に前進することが大切なのです。

厳しい現実を受け入れることは、時に痛みを伴います。しかし、それを避けることは、一時の安堵を得る代わりに、長期的な成長の機会を失うことを意味します。目を背けたくなる現実こそが、自分を成長させる最良の教材であり、そこにこそ、未来を変える鍵が隠されているのです。

最後にロバート・フリッツの名言をお伝えしたいと思います。

現実は大人の味だ。
Reality is an acquired taste.

現実は甘いことばかりではありません。苦いこと、しょっぱいこと、辛いこと、悲しいこと、あらゆる感情の引き金になる要素を含んでいるのが現実です。しかし常に現実を客観的に直視し、味わい続けることによって、まるで味わい深い食べ物が病みつきになるように現実を好むようになっていきます。アートを創造する人間にとって、現実は大人の味なのです。(ロバートフリッツコンサルティングより)

 

 

  • 2025 03.03
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